<山での生活>
- 2007.08.08
- エッセイ
山での生活 -序章-
幼少期の子供の三原則 小学校低学年の頃 相模湖の小高い山の斜面に 6、4.5、6畳の3DK 目前は湖、どこまでも果てしなく続く空 仕事の都合上、夫を都会に残し 母、子3人丘に立ち、バンザイと叫んだ が、しかし まさか、欲しくなかったものまで |
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いじめ
転校先で間もなく うつむきかげんに「ただいま・・・」と しかし、自分なりに感情を処理して帰宅 目の奥をのぞき込み ある日、なかなか帰ってこなかった 誰もいない校庭に 私に気づくと 見れば肉が見えるほど短く切られた爪 「みんなでわたしを押さえて爪を切ったの」 「強かったね」 「きれいねえ・・・」 涙が青い空にすっかり吸い込まれるのを見届け 和歌、この先、つらいことや苦しいことがあるかも知れない
共感してあげるだけで楽になる |
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不登校
翌朝、「もう学校に行かない」と和歌 おにぎりを持ってセリ摘みに 教室で勉強してる場合じゃない バケツいっぱいのセリ 朝から晩まで 2日目もまた カラスに餌やり、蟹取り、お花摘み・・・ 3日目の朝 熱を測ると 「まあ、大変!肺炎になっちゃうわ」 布団の上で並んでゴロ寝 その時ちょうど 解りやすく噛んで砕いて読み上げた 自殺―― 翌朝 不登校は、困るどころか 休まれて困るのは おまけに先生や親に知れたらどうしよう・・・ 和歌はいじめられるほどに いじめにあった時 いじめられるほどに 歌うこと、弾くこと 自然が奏でるオーケストラをバックに 嵐の晩、バラバラと落ちる栗の音 丘の斜面を渡る風は 小さなシンガーソングライター いじめっ子は 鍵盤をたたく腕力 学校という教育現場で いじめる方は 極めつけは、腕っぷしの強い2歳上の兄 不登校になりそうなのは 先生や親に言いつければ足がつく
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モチーフ豊かな生活
得意科目は国語、音楽、図工 生活様式はシンプル 図工の時間 取りつかれたように描きつづけ 画用紙いっぱいブルー 国語の時間 たった5行の詩が お父さんとお母さんは 和歌は嘘つき? 山に越すことをはじめ 寄れば触れば が、しかし 仲良く見えただけ? そう感じさせたのは 流れている曲は 本当は仲が良いやら悪いやら
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山での生活 -終章-
「山での生活は2年間だよ」 いじめもあるにはあったが 山の子供たちと 木のてっぺんに登り 辺りはもうすっかり夕暮れ |