――三者面談――
「-ご子息さま・・・誠にうれうべく
○月○日に・・・ご来校を-」
赤点の呼び出し状だった
ナントは母は
とりわけ真っ赤なコートをはおって
学校へ出向き
「こう赤点が多くちゃあ~
ですから先生
赤いコートを着てまいりました」-と
「それともダイエットのしすぎでしょうか?」
「そんな~」
「脳ミソは蛋白質でできてます」
何かと的はずれなことばかりいって
揚句は
「この子は孝行者で
入院中は家事全般・・・
勉強どころじゃございません」
「ハァー和歌さんで
助かりましたねぇー」
孝行者の話で終わった。
帰りの道すがら
「ホラ!和歌、空見てごらん
きれいな赤い夕焼けよ!」
なぜか
「ソラ見たことか、赤点」と聞えた
昔いじめがあった時
こんなきれいな青い空の下にも
人をいじめる可哀想な子が
いるんだねぇ~と
久し振りに母と並んで
空を見上げた
同じ渋谷
遠くバンタン上空に
子供の頃見た限りなく透明に近いブルー
あの日の青い空が広がっていた
流れる雲に乗って
「オーイ、音楽やりたい者
この指とまれ!」
―「赤点なんてもうどうでもいい」―
自然の中で培った
エネルギーと感性を
音楽にして
高校生
今まさに蝶となって
バンタン上空をめざし
はばたけ!和歌だった
|